津山中央病院

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泌尿器科

泌尿器科

手術支援ロボット『ダヴィンチ』について

当科の方針
 岡山県北部の数少ない泌尿器科中核病院として地域の医療機関と密に連携をとりながら泌尿器科疾患全般について診断・治療を行います。標準治療を行うにあたって、本人・家族とよく相談しながら治療を進めていきます。また地域の特性として高齢者が非常に多く、標準治療が行えないこともありますが、本人や家庭の状況を考慮して可能なかぎり生活の質を落とさないような医療を心がけています。
特に泌尿器腫瘍に対する外科的治療や化学療法を中心に、排尿障害(尿が出にくい、漏れる、近いなど)尿路結石などに注力しています。
 検査・治療機器も充実してきておりますが、ハードの面だけではなく診療の内容や質にもこだわりより良い医療を目指して努力しています。
また当科では前立腺癌に対して、2019年3月から手術支援ロボットda Vinciを導入し、ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術を開始しており、2020年9月からは早期腎細胞癌に対してもロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術をおこなっています。
 また当院では陽子線治療施設を併設しており、前立腺癌に対する治療の選択肢として陽子線とロボット手術を選択できる国内でまれな施設となっています。

 

 

主な治療対象
  • 腫瘍:副腎腫瘍、腎腫瘍、腎盂尿管腫瘍、膀胱腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍
  • 尿路結石:腎結石・尿管結石・膀胱結石
  • 排尿障害: 前立腺肥大症、頻尿、尿失禁、過活動膀胱、神経因性膀胱、性器脱、間質性膀胱炎、低 活動膀胱など
  • 炎症:腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、精巣上体炎、尿道炎などの尿路性器感染症
  • 性器脱:骨盤臓器脱
  • 小児疾患:包茎,停留精巣
  • 尿路性器外傷:腎外傷、尿路性器外傷、尿道損傷など
     
行っている治療
  • 前立腺癌:
    da Vinciによるロボット支援下前立腺全摘除術
    陽子線治療(2016年7月から開始となりました)
    内分泌ホルモン治療
    化学療法(ドセタキセル,カバジタキセル)
  • 腎盂尿管癌: 
    腎尿管全摘除術(腹腔鏡補助下)
    全身化学療法(抗癌剤、免疫チェックポイント阻害剤など)
  • 膀胱癌:
    経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)
    膀胱全摘除術+尿路変更術(回腸導管、尿管皮膚瘻、回腸新膀胱)
    (低侵襲手術;ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術を希望される場合は岡山大学病院へ紹介)
    化学・放射線療法
    全身化学療法(抗癌剤、免疫チェックポイント阻害剤、抗体薬物複合体など)
    抗癌剤・BCG膀胱内注入療法

     
  • 腎癌:
    根治的腎摘除術(腹腔鏡,開腹)
    ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術
    全身化学療法(インターフェロン、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤など)
  • 精巣腫瘍:
    高位精巣摘除術(全身化学療法が必要な場合は岡山大学病院へ紹介)
  • 前立腺肥大症:
    前立腺レーザー核出術(HoLEP)
  • 尿失禁・性器脱:
    TVT手術
  • 尿路結石: 
    体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
    経尿道的尿路結石砕石術(TUL,f-TUL)
    経皮的腎結石砕石術(Mini-PNL)
 当院で行っている新しい治療について
 腎癌に対するロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(RAPN)について;
・腎細胞癌について
 日本では年間10万人当たり約6人が罹患するといわれており、罹患率は徐々に上昇しています。罹患率上昇は高齢化に伴うものもありますが、CTや超音波検査など行ったときに偶然見つかることも多く、早期癌(4cm未満)の状態で発見され易くなっています。診断は超音波検査やCT・MRI検査などの画像診断や良悪性の鑑別・腫瘍の組織型確認のため腎腫瘍生検を行う場合もあります。治療法は様々ですが、早期癌については手術療法が第一選択となります。古くからは開腹手術が標準でしたが、現在は腹腔鏡下手術が主流となっています。

 
・腎部分切除について
 手術療法には腎摘除術と腎部分切除術があります。従来は腎摘除(患側腎全摘)術が標準でしたが、小径早期癌の場合、大部分は正常腎であり、術後の腎機能低下が懸念されていました。腎機能温存の観点から行われてきたのが腎部分切除術です。腫瘍部分のみを切除し、正常腎を残すことができるため、その点で有利とされています。
 腎臓は血流に富んだ臓器であり、腎部分切除を行うときに腎血流を一時的に遮断、阻血状態にした上で腫瘍と周囲の正常組織を一部つけて切除し、切離断面の止血処理を行った後、遮断解除、腎血流を再開させる方法をとります。腎血流遮断は手術中の出血量軽減など安全に手術を行う上で必要な手段ですが、阻血時間が長くなると、術後に不可逆的な腎機能障害を来たす可能性があります。
 短い阻血時間にするため、速く正確な手術が必要とされます。これまでは開腹手術または腹腔鏡下手術が行われてきましたが、表のごとく、長所短所が表裏一体であり、術式の選択は各医療機関や担当医によって様々でした。

 
  開腹 腎部分切除術 腹腔鏡下 腎部分切除術
長所
視野が広く手術操作が容易
阻血時間は短い傾向(腎機能温存に有利)
傷が小さく、術後の痛みが少ない
術後の社会復帰が比較的早い
短所
傷が大きく、術後の痛みが大きい
術後の社会復帰に時間を要する
自由度が低く手術(鉗子)操作が煩雑
阻血時間は長い傾向(腎機能温存に不利)

 

 

 

 
・ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(RAPN)とは
 RAPN(Robot-Assisted Partial Nephrectomy:『ラプン』と読みます)は、手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いることで、拡大された視野で三次元の立体像を見ながら腫瘍と臓器の位置関係を正確にとらえながら手術することができます。また『人間の手』を超える多関節機能で、精密な操作を素早く行えるため、手術中の出血量減少や、阻血時間短縮につながり、従来の腹腔鏡下腎部分切除術の短所を補う手術となっています。当然、腹腔鏡下手術なので傷が小さく、術後の痛み軽減など患者さんの負担も軽くなります。RAPNは、開腹手術と腹腔鏡下手術の長所を合わせ持った術式といえます。

 

 
その他の当科で行っている治療について

 

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RALP)
 前立腺癌対する手術療法は、癌も含め前立腺をすべて摘出する「前立腺全摘除術」が行われます。以前はへそ下を15~20cm切開して前立腺を摘出し、膀胱と尿道を縫い合わせる開腹手術が行われてきましたが、最近ではより低侵襲な手術として内視鏡を用いる腹腔鏡手術が行われてきています。その中でも手術支援ロボット(da Vinciサージカルシステム)を用いた内視鏡手術は、従来の内視鏡手術に比べ、三次元画像による拡大視野で正確な情報を得ることができるとともに、鉗子先端が自由に動くことにより、正確で繊細な手術操作が行えるようになり、癌の制御とともに、手術後の大きな問題とされている尿失禁や性機能障害などの成績が改善されることが期待されます。
 

 

HoLEP(経尿道的前立腺核出術)
2009年10月から当院へホルミウム・レーザーが導入されました。これは前立腺を剥離・止血したり,尿路結石を破砕するのに使用します。
前立腺肥大症の外科的治療として以前は尿道から内視鏡を入れ、肥大部分を電気メスで少しずつ削り取る「経尿道的前立腺切除術(TUR-P)」が最も広く行われてきましたが、前立腺が大きくなると出血が多くなり、視野を保つために流す灌流液が体に吸収され、吐き気や血圧低下、意識障害など低ナトリウム血症を起こす危険性がありました。
当科では前立腺肥大をおこす内腺と外腺の間の血管が少ない面をレーザーによりはがしていく「ホルミウム・レーザー前立腺核出術(HoLEP)」をおこなっており、出血も少なく、灌流液に生食水を使うため低ナトリウム血症を起こすこともありません。従って大きな前立腺でも安全に手術を行うことができます。最近では抗血栓薬(サラサラぐすり)を内服している患者さんが増えてきていますが、TUR-Pでは止血が難しく術前休薬が必要でした。HoLEPでは一部の抗血栓薬を除いて内服継続のまま治療が可能です。また術後尿道カテーテルの留置期間も3-4日から2日に短縮でき入院期間も短縮されています。

 

 

 

 

 尿流量測定(器械の前で尿を飛ばして尿の勢いを客観的に測定する検査)

HoLEP前 HoLEP後

 

HoLEP後は尿の出方(縦軸)がよくなり,排尿時間(横軸)も短くなっています

 

 

経尿道的尿管結石砕石術(TUL、f-TUL)

 尿路結石の保存的治療法としては自然排出を期待したり、尿酸やシスチン結石など特殊な結石の場合には溶解療法などがあります。

外科的治療としては、
体外衝撃波結石破砕術(ESWL) 
内視鏡下に経尿道的なアプローチで結石を破砕する経尿道的尿管結石破砕術(TUL、f-TUL)
腎へ直接内視鏡を挿入して結石を破砕する経皮的腎結石破砕術(PNL)があります。

 
 ESWLは衝撃波を結石に集中させて破砕します。腎結石や上部尿管結石(腸骨稜以上)が適応となることが多いのですが、機種によっては中部―下部尿管結石も破砕できるものもあります。ESWLは外来で繰り返し施行できるメリットがある一方、腎結石では正常腎実質へのダメージや大きな尿管結石では破砕が難しかったりすることがあります。
 ESWLで破砕が難しい大きな尿管結石や下部尿管結石では経尿道的アプローチであるTULが行われることも多く,2cm以下のそれほど大きくない腎結石に対しては軟性尿管鏡を使用したf-TULも行われるようになってきています。
 当院でのESWLの機種の限界として腸骨稜以下の結石は破砕が難しいため、自然排出が難しい下部尿管結石やESWLで破砕困難な上部尿管結石に対してTULを行ってきました。2009年10月からはホルミウム・レーザーが導入され細径の硬性・軟性尿管鏡で結石を安全に効率的に砕石できるようになりました。またレーザーファイバーは屈曲が可能なため、軟性尿管鏡を使用して上部尿管や腎盂腎杯結石も破砕できるようになり治療の選択肢が増えています。(これをf-TULといいます)

 

 

 

 

 

医師紹介

 

 
医師名 明比 直樹
役職 副院長 (外来運用担当)
 専門分野 尿路性器悪性腫瘍・泌尿器一般
専門医
資格

日本泌尿器科学会専門医、指導医 
日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医

日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器腹腔鏡)
日本癌治療認定医機構暫定教育医 
日本がん治療認定医 
da Vinci certificate取得

 

 

 

 
医師 石川 勉
役職 医長
ロボット・内視鏡外科手術センター副センター長
専門領域 泌尿器科全般
専門医
指導医

日本泌尿器科学会専門医 
日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本泌尿器科学会泌尿器科指導医認定
泌尿器ロボット支援手術プロクター手術指導医(前立腺)
da Vinci certificate取得

 

 

 
医師

児島 宏典

役職 主任
専門領域 泌尿器科全般 泌尿器科悪性腫瘍 排尿障害
専門医
指導医

日本泌尿器科学会専門医 
日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医

日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器腹腔鏡)

da Vinci certificate取得
 

 

 

 
医師

竹丸 紘史

役職 主任
専門領域 泌尿器科全般
専門医
指導医

da Vinci certificate取得


 

 

 

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